10年の振り返りとこれから
株式会社空色を創業し、あっという間に10年が経ちました。
モノづくりに取り組まれている人や会社ごとに持たれている思いを、日々懸命に生きるユーザー一人一人の生活がその人らしく彩れるために、お互いのらしさが繋がり・響きあう世界を目指してきました。
これまで取り組んできた、チャットで購買提案を行うこと、ユーザーとの対話をチャットボットが担うこと、サイト内の行動に沿ったUXを提供すること、今では当たり前になっていることばかりですが、空色が取り組み始めた時はまだ成功事例も少なく、その価値を理解いただくことも難しい状況でした。
どんな状況であっても諦めず、少しずつでも前進していれば、必ず新しいことを積極的に、空色と共に初めの一歩を踏み出してくださる人・企業と出会ってこれました。
空色が今日を迎えられているのは、そんな方々との出会いがあったからです。
そして創業時から徐々に仲間が増え、共に歩んでくれる社員の皆さんにも改めて感謝を。
皆さんの支えがなければここまで続けられていません。
深い感謝の気持ちと共に、刹那的に過ぎる日々の中で、あまりゆっくりと思い返すことのないこれまでを振り返り、これからの空色が目指すビジョンをご紹介させて頂きます。
決して順風満帆だったとは言えませんが、空色らしさを感じて頂ければ嬉しいです。
■沿革
2013年10月創業
事業:クラウド型プレスルーム Styleeの運営
新入社員から7年間勤めたNTT西日本を退社し、株式会社空色を創業。
当時はクラウド型プレスルーム Styleeを運営していました。
全国津々浦々でモノづくりをされている方の商品を、都内のスタイリストや雑誌編集部にサイトで紹介し、メディア露出をサポートするサービスです。
東京ビッグサイトで開催されるイベントに単身乗り込み、1日で100枚名刺を頂くなんてこともやっていました。
商品とスタイリストのマッチングサービスと言えるかもしれません。
創業時からコミュニケーションを事業の軸にすることは決めていました。
商品に込められた思いが掲載に繋がる瞬間は今でも覚えています。
2014年4月
事業:PRIMODEの立ち上げ
Styleeを通じてスタイリストの感性や知識に触れる機会が増え、この人たちの魅力を世の中にもっと届けたいということで、スタイリストとユーザーをチャットで繋ぎ、ブランドを横断したコーディネート提案を受けられるウェブサービスを開始。
著名なECモールにダメ元でトライアル参加を打診すると、意外とすんなりOKが。
今思い返せば、怖いもの知らずとはまさにこのこと。
数十万アイテムをスタイリストが提案できるようにデータ登録。
一部手作業になったのはカラー分類。
アイテムデータの色の表現が自由すぎて、詰みそうになりました。
グリーン&ブルーとか、何色に分類すれば良いのか。。
2014年10月
事業:PRIMODEの発展
小さく始めていたPRIMODEを発展へ。
アフィリエイト型から始めたPoCから、モール型へ発展させていきます。
システム開発、決済準備、物流準備、iOSアプリ開発、アパレル各社への提案に奔走する日々。ローンチ後はメディア取材が増え、新聞にも度々掲載頂きます→両親喜ぶ。
当時は、会議室の奥にある某アニメキャラ的な押し入れの中に簡易ベッドを収納し、
社員が帰宅した後にごそごそと引っ張り出して、そのまま会議室で寝てました。
全員帰ったと思ってリラックスしていると、屋上から急に社員が降りてきて、驚く。
まさにベンチャー?な環境でした。
2015年
事業:OK SKY提供開始、チャットセンター受託開始
PRIMODEに参加してくださっていた企業から、このシステム自体を提供出来ない?と言っていただき、色々と考え抜いた結果、PRIMODEからチャット部分を切り出す形で
OK SKYを提供開始。
当時はまったくSaaSではなく、受託開発としてスタートしています。
その後、大手百貨店のECサイトにも導入が決まり、B2CからB2Bへ急速に舵を切ることに。当然、舵を切ることは痛みも伴い、当時の社員が半分ぐらい退社します。それでもこのチャンスを掴むんだと全力前進。
チャットセンターの運営支援も同時に開始。
ブランドを横断した接客をPRIMODEで実現しよう!と声をかけて入社してくれた社員に、入社からあっという間に特定ブランドさんのオフィスへ出勤をお願いしました。
色んな思いがあったはずですが、ほんとによく応えてくれました。
この取り組みがなかったら、この後の事業展開も大きく変わっていたに違いありません。
高い壁にも、無茶な依頼にも、怯まず立ち向かってくれる仲間に感謝。
2016年
事業:OK SKYの発展、チャットセンター受託の拡大
順調に成長する会社をさらに伸ばすべく、大きくストレッチ。
アパレル以外の業界にもサービス提供が進んでいきます。金融商品に関するチャット相談のCVRが最も高かったことは意外でした。興味があっても調べるのが面倒なことは相性良かったです。
某ブランドのLINEアカウントから直接有人チャットに接続する実験を行うと、3万件/月の連絡が届きます。チャット担当者が青ざめ、どれだけ返信しても未返信が蓄積される日々。ブロック率の改善には大きく寄与しましたが、チャットボットが必要だと痛感。
2017年
事業:チャットボット機能の提供開始
チャットボット流行前から、IBM WatsonやNTT系エンジンなど検証し、いくつかのAIエンジンを利用したチャットボットサービスを提供開始。社内では誰も取り組んだことがないチャットボット構築をエンジニアと顧客体験の設計チームが二人三脚で実装。
初契約先でのサービス提供時の舞台裏はまさにお祭り状態で、ローンチ3日前ぐらいにちょっとした事件が起こりました。
何を入力しても返答が同じ答え(特定ブランド名)しか回答されず、作業している数名(自分も含む)が一時的にそのブランドのことが嫌いになります(今は好きです)
営業時間は?→特定ブランド名 です。😅
トイレの場所は?→特定ブランド名 です。😥
イベントはどこで開催してる?→特定ブランド名 です。😱
頭を抱えるとはまさにこのことだと。
原因を突き詰め、検証を繰り返し、なんとか無事ローンチできました。
2018年
事業:チャットボット提供の拡大
チャットボットサービス提供にナレッジが溜まり、提供先を拡大していきます。
サービス維持費用の改善が課題となり、一部外部エンジニアに依頼していたチャットボット構築・運用を全て社内で担い始めます。
チャット接客を希望して入社してくれた社員のステップとして、チャットボットのチューニング業務に携わってもらうようになります。
ITとは異なるキャリアだった人たちが、思うように進まないこともあるチューニング業務に奮闘し、成功体験を積み重ねていく姿に感動していました。
2019年
事業:WhatYa提供開始
チャットボットサービスが順調に広がってきたので、正式にプロダクトとして提供開始。
徐々にチャットボットと有人接客を組み合わせた体験が浸透していきます。
ウェブサイトにチャットサービスが導入されていることも当たり前に変わってきた感覚がありました。
2020年
事業:WhatYaが主軸事業に
OKSKYとWhatYaを統合し、サービスを一本化します。
小売業界以外にもサービスが広がり、さまざまな業界のデジタル接客を支援させて頂きました。
一方で新規参入も激化し、競合サービスの名称を覚え切れなくなり始めます。
そしてコロナ禍が始まりました。
訪日観光客の姿が消え、訪日観光客向けに提供していたチャットボットサービスも終了(売上の30%ぐらい占めていました)。分かりやすいピンチを迎えます。一方で自社ECに注力する小売業界の勢いで新規受注が増加し、何とか乗り越えることが出来ました。
2021年
事業;WhatYaの展開
激しい競争環境を勝ち抜くために新機能を順次リリース。
予想以上に続くコロナ禍に対して、ユーザーとアパレル企業の間に少しでもコミュニケーションの機会を維持するために、ZOZOTOWNとトライアルを開始。様々な規模の企業にWhatYaをご利用いただき、非常に学びの多い取り組みになります。
コロナ禍に温かみのあるコミュニケーションを目指し、青山商事さんとユニークな取り組みを開始します。
AIチャットボット スナックよしこ。
ユーザーに寄り添った体験を提供出来る機会を頂けたことに深く感謝しています。
2022年
事業:WhatYaの発展
海外ECサイトのUXが商品から人を軸に変化していく状況から、ECサイトの未来はもっと直感的で統合的に進化するのでは?との思いから、新機能をリリース。
成果と課題を得られたことで、サービス展開を大きく進展させることに成功する。
2015年から提供してきたチャットセンター運用支援事業を提携先企業へ引き継ぐ。
チャットセンター勤務だった社員が、今やAIチューニングのプロフェッショナルに。
簡単ではない変化を遂げてくれた努力に感謝と共に、人が成長していく姿に感動。
2023年
事業:コマースOneホールディングスの連結子会社化と再出発
2022年秋頃から活動してきた、新たなステージに向かうパートナー開拓もいよいよプレスリリースを迎える。
この間、事業運営は社員たちが完全に支えてくれていました。本当に感謝。
半年に及ぶ様々な出来事を一つ一つ乗り越えて、コマースOneホールディングスのグループに加えて頂くことが出来ました。
グループ各社への貢献と共に、サービスを利用いただける企業の方々へより高い価値を提供できるように、空色を次のステージへと成長させることを改めて決意。
この半年間は自室から見える富士山を眺めながら、色んな感情が織り混ぜった息を吐き出して自分に気合を入れながら、いろんな方々の顔を思い浮かべつつ、全力前進。
ここからも全力前進を続けていきます。
これからについて
そして気がつけば、あっという間の10年間。
WhatYaを発展させながら、今も来年4月から始まる新たな事業の準備を進めています。
これまで本当に多くの方と出会い、関わらせて頂き、少しずつ人として、会社を経営する立場として成長させて頂きました。
ただ、まだまだ満足出来るようなアウトプットは出せていません。
空色らしい価値を届けるには至っていません。
10年目が大きな変革になった年だと10年後に振り返れるように、小さな変化を積み重ねて、世の中にもっと必要にされる会社に進化させていきます。
皆様、今後とも引き続きよろしくお願い致します。